黒字倒産しないためのキャッシュフロー管理

景気が良さそうだなと思っていた企業が、ある日突然の倒産。たしかに利益がでていたのにもかかわらず何かの理由で経営が立ち行かなくなってしまう。これが黒字倒産と呼ばれるものです。利益があるのに何故?と思うかもしれませんが、事実として毎年多くの企業が黒字倒産をしています。

東京商工リサーチの調査によると2017年に倒産した企業の内、赤字であった企業は53.7%。つまり46.3%の企業は利益を出していたにも関わらず倒産してしまったのです。

何故そのようなことが起こるのか。ここではその原因と資金調達を含めたキャッシュフロー管理に拠って黒字倒産を如何に防ぐかを見ていきます。

【黒字倒産は何故起こるのか】

黒字倒産をした企業は何故そのような道に進んでしまったのでしょうか。ここでは大きく3つに分けて見ていきたいと思います。

①黒字ではあるが今後の事業拡大の望みが薄い
②人手不足により仕事を受けることができない
③財務状況が改善せず、投資や返済に回す資金が足りない

まず最初に、今後その事業が成長していくのかという視点です。新しい産業が生まれていく傍られで廃れていく業界は必ずあります。そのような規模が縮小する業界において生き残っていける企業はごくわずか。それならば余裕がある内に事業を諦め、将来に目を向けるというのが①になります。

続いて②は現代社会の問題でもあります、人手不足です。2018年の大卒新卒採用でも売り手市場となっており、人材の争奪が年々激しくなっています。それでも大企業や知名度のある中小企業であれば人材を選ぶことができますが、そうでない企業にとっては非常に難しい採用環境となっているのが実情です。特に地方に拠点を置く企業にとっては人口減少というネガティブな側面があることからも、都市部の企業に比べ不利な状況にあります。そのような経緯によって人手が足らなくなり、仕事はあるのに労働者がいないという状況が生まれ、結果として廃業せざるを得ない企業が増加しているのです。

最後の③は今回のテーマでもある財務状況悪化の末の倒産です。倒産と聞いて多くの方がイメージするのはこちらの理由だと思います。
ここで簡単に財務的理由による黒字倒産の流れを整理します。現代の商取引は掛取引が主流であることから売上の計上時期と実際に入金がされるタイミングにズレが生じます。これは収入だけでなく支出でも同じことです。このズレが原因となって手元資金が枯渇し行き詰まッた結果が黒字倒産です。利益が出ているにも関わらず支払い余力が無いために不渡りを起こし、銀行からの借入もできなくなってしまうといった状況です。
この危機的な状況を作らないためには、やはりキャッシュフローをしっかりと管理し適切な運用をすることが求められるのです。

【黒字倒産を回避するためにキャッシュフローの管理を!】

 

では、黒字倒産を回避するためには具体的に何をすればいいのでしょうか。会社に資産があれば、それを担保として融資が受けられます。また資産の売却によって資金を捻出するのも良いでしょう。しかし、そのような形で資金調達をしても急場凌ぎにはなりますが根本的な原因の解決にはならないことに注意をしなければなりません。

他に出資を受けるという手段もありますが現実的とは言い難いです。もちろん新株発行による直接金融で資金調達をすることができればキャッシュフローは大きく改善しますが、その時に都合の良い引き受け手がいるかといえば中々それは難しいでしょう。

そのように考えていくと、黒字倒産の回避には財務体質を改善し、資金不足にならないようなキャッシュフローの可視化が重要となります。実際に使われるものとしては資金繰り表やキャッシュフロー計算書が挙げられます。この2つの計算書を理解し活用することが財務体質強化と資金不足リスクへの対応に繋がります。

【黒字倒産をしないためにやるべきこと】

ここまで黒字倒産を回避するためにはキャッシュフローの管理が重要であることを述べてきましたが、では適切な管理をするために何が必要でしょうか。経営者自身が数字に強く、財務コントロールが出来るならば安心もできますが、そのような経営者は意外と少ないのです。

そのため第一にやるべきことは信頼できる能力を持った会計の責任者を置くことです。しっかりとしたキャッシュフローの管理の上で、会社の新たな投資に対して適切な意見を言える会計責任者は、事業を継続していく上で重要な存在となります。

経営者という人は多少のリスクがあってもアクセルを踏みたがる傾向にあります。当然成功するためにはそれは必要な素質ですが、時にはコントロールが必要です。そして、そのときにブレーキの役割を務めるのが会計責任者となります。

次に取引先の与信管理です。取引先からの入金が支払い期限までに行われないという問題は資金不足に陥る理由の最たるものです。つまりここの対策が十分であればキャッシュフローに余裕が生まれ黒字倒産の回避につながります。

与信管理においては営業や管理部門の連係が重要で、取引先の雰囲気や経営者の資質を見極め、その上で調査会社などの情報を参考に取引先の信用度を判断していきます。その判断に基づいて与信限度額を設定すれば、リスクをしっかりとコントロールできます。また、取引先の事業について市場規模や将来性といった分析も行うのが理想的です。

しかし、ここまでやっても全てのリスクに対応するのは難しく、だからこそ長い間経営者を悩ませてきた問題ともいえます。そのため、未然に危機対策を施し、キャッシュフローをコントロールしても尚危機に陥りそうな時には、ファクタリングによって売掛債権を現金に変えるといったことも考えておくべきでしょう。

【まとめ】

 

今回は黒字倒産を回避するための注意点を大まかに列挙してきましたが、大事なことはそのような状況を作らないように準備をしていくことだということが伝わったかと思います。そんな当たり前のこと?とお思いかもしれませんが、直接利益につながらない財務管理の部分は、軽視され体制構築を後回しにしがちになってしまうものなのです。だからこそ経営者が意識的に取り組み、健全な財務体質に変えていく必要があります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です